筋トレのウソ?ホント? · 研究で確かめる
毎回限界までやらないと、筋肉はつかない?
「限界までやるか」を研究で確かめる
「最後の1回が筋肉をつくる」「毎セット、もう上がらないところまで」。ここでいう限界は、もう1回も上げられなくなるところのことです。毎回そこまでやる必要があるのか、研究を見てみましょう。
結論
ウソ
限界までやっても、手前で止めても、筋肉の大きくなり方と筋力に大きな差はなかったという研究のまとめがあります。ただし、限界に近いところで止めるほど筋肉は大きくなりやすい傾向がある、という分析もあります。
エビデンスレベル:中(研究のまとめはあるが、細かいところは分かれている)研究のまとめ
限界までやっても手前で止めても、筋力と筋肉の大きくなり方に大きな差はなかった
若い成人で、限界までやるか、手前で止めるかを比べた15件の試験をまとめた研究です。筋力と筋肉の大きくなり方に大きな差はありませんでした。トレーニング経験のある人だけで見ると、限界までやるほうが、筋肉の大きくなり方がわずかに大きかったという結果でした。
PubMed で見る限界に近いところで止めるほど、筋肉は大きくなる傾向があった
「あと何回できたか(余力)」を研究の説明から推定して分析したまとめです。限界に近いところで止めるほど、筋肉の大きくなり方は大きくなる傾向がありました。筋力の伸びは、余力によってほとんど変わりませんでした。余力は推定した値なので、正確な関係ははっきりしないとされています。
PubMed で見る経験者で比べた試験
あと数回で止めても、ベンチプレスの筋力は同じくらい伸びた
トレーニング経験のある男性を、「あと4〜6回で止める」「あと1〜3回で止める」「最後のセットだけ限界まで」「毎セット限界まで」の4グループに分けて8週間比べました。ベンチプレスの1RM(1回だけ持ち上げられる最大の重さ)は、あと4〜6回とあと1〜3回のグループで同じくらい伸び、限界まで行うグループはやや小さい伸びでした。筋肉の厚さは、ばらつきが大きく、はっきりした差は言えませんでした。
論文を見る毎回あと1回で止めても、少しずつ限界に近づけても、差はなかった
トレーニング経験のある若い成人を、「毎回あと1回で止める」グループと、「あと4回から1回へ少しずつ近づける」グループに分けて10週間比べました。1RMと筋肉の大きくなり方に差はありませんでした。少しずつ近づけたグループのほうが、きつさの感じ方は小さかったという結果でした。
論文を見る限界の、その先までやると?
限界のあとに小さく動かす回数を足すと、ふくらはぎが少し大きくなった
トレーニング未経験の男性が、スミスマシンで片脚ずつカーフレイズ(かかとの上げ下げ)を10週間行いました。片脚は全部の範囲で限界まで、もう片脚は限界のあと、かかとを下げた側で小さく動かす回数を足しました。足したほうがふくらはぎの筋肉(腓腹筋)が大きく増えました(+9.6% と +6.7%)。ただし、足したほうは扱った量(重さ×回数)も約1.7倍多くなっていました。
PubMed で見るトレーニング経験のある23人で行った8週間の試験(Eur J Sport Sci · 2025年)では、限界のあとに小さく動かす回数を足すやり方と、はじめから、かかとを下げた側の半分の範囲だけで限界まで動かすやり方は、同じくらいの結果でした。
じゃあ、どこまでやればいい?
研究の結果をもとにすると、次のような進め方があります。
- ふだんは、あと数回できるくらいで止める:毎回限界までやらなくても、筋肉は育つという研究報告があります。
- ときどき、限界近くまで行う:限界に近いところで止めるほど、筋肉が大きくなりやすい傾向があるという分析があります。
- 経験を積んだら、限界に近いところも意識する:経験を積んだ人ほど、限界に近いところまで行う価値が少し大きい可能性があります。
エビトレには、限界までやるかのような「やり方」の研究をまとめた、トレーニングの原則のカードがあります。エビデンスの強さと出典の論文つきで、アプリの中で確認できます。記録は前回の重さと回数が入った状態から始まるので、変えるところだけ直して記録できます。
エビトレを見るこの記事は研究の内容をまとめたもので、医療ではありません。持病のある方や痛みのある方は、医師や専門家に相談してください。(2026年10月 時点の研究にもとづきます)