筋トレのウソ?ホント? · 研究で確かめる
下腹だけを鍛えれば、ぽっこりお腹は引っ込む?
「下腹の腹筋」を研究で確かめる
「下腹にはレッグレイズ」「上の腹筋と下の腹筋は別に鍛える」。ジムでよく聞く話です。お腹の前にある縦長の筋肉(腹直筋)の下のほうだけを鍛えられるのか、それでぽっこりお腹が引っ込むのか、研究を見てみましょう。
結論
まだはっきりしない
腹直筋の上と下の働きを比べた研究では、多くの運動で上下の差はみられませんでした。下のほうだけを大きくできるかを測った研究は見つかっていません。また、鍛えた場所の脂肪だけが減る「部分痩せ」も、多くの研究では確かめられていません。
下のほうだけ大きくできるかは確かめられていない(まだはっきりしない)はじめに:筋電図とは
ここで紹介する研究の多くは、筋電図を使っています。筋肉が働くときに出る小さな電気を、センサーで測る方法です。その運動のあいだに、筋肉のどこがどれくらい働いたかがわかります。ただし、何週間も続けて筋肉が大きくなったかを測ったものではありません。
上と下で差がなかった研究
6種類の腹筋運動で、上と下の働きに差はなかった
上体を起こす運動(カールアップ)、脚を下ろす運動、お尻を持ち上げる運動(リバースカールアップ)など6種類を比べました。どの運動でも、腹直筋の上部と下部の働きに差はありませんでした。
PubMed で見る7種類の腹筋運動で、上も下もよく働く種目は同じだった
ウエイトトレーニングに慣れた日本人男性で、シットアップ・クランチ・レッグレイズなど7種類を比べました。腹直筋の上部も下部も、ローマンベンチ(足を固定する台)でのシットアップと、体を支えて脚を上げるレッグレイズで大きく働き、上部と下部で同じ種目が上位でした。この2つの種目では脚の付け根の筋肉も強く働き、著者は腰への負担に注意が必要としています。
論文を見る部分によって違いが出た研究もある
正しくできた人では、運動によって上と下の働きが違った
カールアップと、骨盤を後ろに傾ける運動を比べました。正しくできた人では、カールアップは上部がよく働きました。運動経験の多い人では、骨盤を傾ける運動のほうが下部がよく働きました。正しくできなかった人では、上下の差はありませんでした。
PubMed で見るテニス選手の腹直筋は、下のほうほど左右の差が大きかった
プロのテニス選手と運動習慣のない男性の腹直筋を、MRI で上から下まで測りました。テニス選手の腹直筋は58% 大きく、ラケットを持つ腕と反対側のほうが35% 大きくなっていました。左右の差は、へそより下のほうほど大きくなっていました。種目を比べた試験ではなく、競技をしている人を調べた研究ですが、同じ筋肉でも部分によって大きくなり方が違う可能性を示しています。
PubMed で見るただし、腹筋の種目で「下のほうだけ」を大きくできるかを測った研究は、見つかっていません。今のところ「下腹だけを鍛えられる」とは言えません。
じゃあ、ぽっこりお腹が気になるときは?
腹直筋は、上から下まで1つの筋肉です。研究をもとにすると、次のように考えられます。
- 「下腹」は、筋肉より脂肪が関わっていることが多い:下腹のふくらみが気になる場合、筋肉よりも脂肪が関わっていることが多いと考えられます。鍛えた場所の脂肪だけが減るかについては、部分痩せの記事でまとめています。
- 腹筋の種目は、上も下も一緒に働く:多くの研究で、腹筋の種目では上部も下部も一緒に働いていました。「下腹用」の種目にこだわらず、続けやすい種目を選ぶ方法があります。
エビトレなら、鍛えたいところに合わせて、研究のある種目を選べます。「下腹が気になる」を選ぶと、下腹だけを鍛えられるかの研究を、よくある誤解として紹介します。部分痩せのような思い込みも、アプリの中で説明しています。
エビトレを見るこの記事は研究の内容をまとめたもので、医療ではありません。持病のある方や痛みのある方は、医師や専門家に相談してください。(2026年10月 時点の研究にもとづきます)